読書記録

マキャベリ「君主論」

高校生の頃ドハマりした、マキャベリ熱再燃、っつーことで、 こないだ文庫化した塩野先生の「わが友マキァベリ」と、 マキャベリ「君主論」再読。 マキャベリの言説は、飲み屋で政治談議をするおっさんの言葉、的にかるーく読んでも面白い。もちろん、真面目…

 冲方 丁「天地明察」

江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯をかけた男がいた。 ミッションは「日本独自の暦」を作ること――。 (帯紹介から抜粋) まさに、「生涯を賭ける」としか形容できないほどの情熱を持って、 天と地をあらわす法則を導き出した、渋川春海の立志伝。 ロマ…

山下貴光 「屋上ミサイル」

結局気になったのでさっさと手をつけてしまいました。 設定の奇抜さやキャラの立ちっぷりは相当際立ってる。 とっても小気味いい青春群像でした。 最初っから一気にノってしまったから、いっきに読んじゃった。 この小説の最初のツカミとスピード感はすばら…

ダン・シモンズ「エンディミオン」「エンディミオンの覚醒」

SF野郎必読のハイペリオンシリーズの3・4部。 とりあえず一通り読んだだけだけど、 1,2部で曖昧だったところを明確にして、さらに風呂敷を広げた感じ。1,2部がSFのあるある設定乱れうち、という感じだったのに際して、 今回は構造的にはシンプル。 あまり捻…

畠中恵「いっちばん」

実にキャラがたっているしゃばけシリーズですが、 キャラが徐々に成長して行く様がそれぞれ描かれていていい感じ。 とても読みやすいので、読書慣れしてない人にもお勧めできる。 借りたその日に読み終わっちまった。

畠中恵『ねこのばば』『おまけのこ』

若旦那は病弱で、周りに助けられてばかりの、どこか浮世離れしたお人好し。 その若旦那が江戸に住む、身の回りの妖怪らとともに事件を解決していく、 という感じのシリーズです。 不思議なお江戸、としか言いようの無い、とても可愛らしい幻想的な世界が良い…

三崎亜記「失われた町」

「ひとつの町に住んでいる人が消滅する」ということが度々起こる世界が舞台。 舞台が舞台だけに、この小説では何かを「失った」人々が、 喪失から如何に立ち直っていくのか、というところが描かれます。 何かを失って、それを埋めようと足掻くってのは、 割…

塩野七生「ローマ人の物語」3〜5巻(文庫)

ハンニバルとローマの戦いを描いた巻。 とにかく熱い! 天才ハンニバル対ローマというのは歴史好きにはたまらんはず。 「戦ってしまえば負ける」ハンニバルに対して、 ローマがどのように粘り強く対応していったのか。 ローマの剣・盾に、スキピオといった有…

畠中恵「ぬしさまへ」

畠中先生の妖怪モノ第2作。 前作のしゃばけを読んだときに思った、 若旦那の人間味が増量されてて、予想外かつ嬉しい。 いや、、コレは面白い。。 うん、こりゃ後のシリーズも読まねばなるまい。

畠中恵「しゃばけ」

畠中先生の妖怪モノ第一作。 「アイスクリン強し」から入ったのだけれど、 この人は本当に、女っ気の欠けらもない男性を旨く描くなぁ。 こんな奴おらんやろ。。とも思いつつ、 いたらいいなぁ、と思えるのはやっぱりキャラたってて、 若旦那たちがいいキャラ…

道尾 秀介「向日葵の咲かない夏 」

面白かった! 何が現実で、何が虚構なのか、 ずーっともやもやさせられましたw。 とにかく、最初からぐいぐい引き込まれる。 すごいなぁ。 信じられないほど異常な情景がすぐ浮かんでくる。 謎解きも納得できる範囲だし、 うん、読んでよかった。 後味はあ…

塩野七生『ローマ人の物語(1)』

偉人の伝記のように、偉大な国「ローマ」の歴史を綴った長編の一巻。 塩野さんは本当に、西洋の歴史モノをロマンたっぷりに書いてくれるから、 読んでいてぞくぞくするw 1巻は、後に地中海に覇を唱えるローマの幼年期の話。 ロムルス・レムルスの建国神話か…

東野圭吾『予知夢』

超常現象に思える事件を、科学を用いて分析・解決していく、 ガリレオシリーズの短編集。 きっちりまとまりつつ、ところどころでこちらの予測をはずしてくれて、 実に気持ちよく読めます。

松本清張 『点と線』

ここのところ、再販されているのでなんとなく購入。 松本清張が社会派サスペンスの創始者だというのを、 あとがきではじめて知りました。 トリック・背景が緻密で、素直に面白かった。 これで二十年以上前の著作、ってのが信じられない。 こんなすごい作家が…

誉田哲也 『ソウルケイジ』

感想としてはストロベリーナイトと同じかな。 エンタメ!って感じ。 主人公のヤマカンにちょっと苛っとしたりしたくらいで、 (裏づけ取れよ!みたいな) 前の巻と同様楽しく読めました。

誉田哲也 『ストロベリーナイト』

武士道シリーズの作者の警察小説。 文庫化されたみたいなので、早速読んでみました。 読みやすい文体で、サクサク話が進んでいきます。 ちょっと事件が猟奇的なので、 グロがダメならやめといたほうがいいくらいで、 活字が苦手な人にも薦められると思う。 …

江戸川乱歩 『屋根裏の散歩者』

明智小五郎モノの短編集です。 さすが江戸川乱歩!って感じの倒錯・猟奇っぷり。 掲題の『屋根裏の散歩者』は、 犯罪に暗い欲望を持つ、女装趣味の男の独白から始まって、 ブレーキ踏まずアクセルふかしっぱなしの変態描写満載。 中編『人間豹』は、まさに外…

誉田哲也「武士道エイティーン」

高校の女子剣道を扱った、武士道シリーズの〆(たぶん)。 ちょっと前作と比べると全体の構成とかは弱い感じがするものの、 キャラがえらく立ってて面白かった。 時折はさまれるサイドストーリーで、 主役級以外のキャラクターを掘り下げてくれてたのも良かっ…

久保 俊治「羆撃ち」

実際に北海道で猟をしている方(専業としてはしていた、になるのかな)のノンフィクションもの。 簡潔でわかりやすい文章で、 プロハンターの経験を淡々と書いています。 特に風景の美しさや、極寒の猟の厳しさの描写がすばらしい。 後、自然に身一つで挑む覚…

恩田陸「ねじの回転」

タイムトラベル歴史修正モノ、とでもいえばいいのかな。 その修正ポイントが結構珍しく、2・26事件。 設定とか結構面白かったんだけど、 え?これで終わり?って感じ。 ちょっと説明不足(シンデレラの靴の仕組みとか)で、 これなんでよ?って疑問がもやもや…

アジャイルプラクティス

あんまり業務内容に近いのは出せないので、一般論的な本を。 簡単に言えば「できる開発者の習慣まとめ」って感じ。 ミスをしたときの対応として、 どうシステマチックにそのミスを起こさないようにこれからするのか、 ってことを考えるときにとてもヒントに…

人事査定の現実

査定について基礎知識をまとめた新書。 そろそろ査定の時期なんで、衝動的に図書館で借りちゃいました。 人が人を評価する、ということの矛盾と、その対策を実例を元に書いてくれてるのでわかりやすい。 著者は査定のコンサルタントをしてる方。 査定される…

森見登美彦「宵山万華鏡」

不思議な京都のお話、といういかにも森見登美彦な短編集。 「この京都なら、こんな不思議なことがありうるかも」と思ってしまう、独特の不思議京都っぷりは健在。 四畳半神話大系や夜は短し歩けよ乙女みたく、さえない大学生が主人公ではないですw。 そして…

平山夢明「異常快楽殺人」

実際に存在する殺人者を、ホラー作家の平山夢明が描いたノンフィクション。 ハンニバルのモデルになった、米国最悪の殺人鬼などの人生をそれぞれ生々しく描いた傑作。 「一番怖いのは人間」ってのは実に使い古された言葉ですが、それを心から実感できます。 …

畠中恵「百万の手」

時代物が有名な、畠中恵の現代モノ。 二転三転するストーリーと、えらく読みやすい文体がとても印象的。 軽くって面白い、まさにエンタメ!って感じ。 しかし、この人の小説は本当に女の人が書いた、って感じだなぁ。 異様に男性間の友情をきれいに書いたり(…

畠中恵「アイスクリン強し」

明治の、まだ洋菓子が広まっていなかったころの、お菓子職人とその仲間たちのドタバタ劇。 登場人物のキャラが立ってて、なんというか少女漫画的なお話でした。 パティシエと元旗本の無頼漢と貿易商の娘、がメインの登場人物、ってとこもすごくそんな感じ。 …

恩田陸「夜のピクニック」

本屋大賞受賞作。 ひたすら朝から晩まで団体で歩く、という、イベントを毎年学校行事として行っている高校のお話。 ものすごく読みやすくて、そしてものすごく真っ当な青春モノ。 高校生のとき、当たり前のように感じていた感覚を少し思い出しました。 高校…

フレドリック・ブラン 「天の光は全て星」

1997年、人類は星々に対する情熱を失い、宇宙開発計画は長い中断の時期に入っていた。 星にとり憑かれた57歳のもと宇宙飛行士マックス・アンドルーズは、そんな世界で無為の日々を過ごしていた。 しかし、木星探査計画を公約に立候補した女性上院議員候補の…

柳 広司 「ジョーカー・ゲーム」

全5編の連作短編小説。 題材は戦中のスパイ養成学校でのスパイ(候補生)らの諜報活動について。 軽くさっくり読めるエンタメ小説でした。 特徴 ・騙し、騙されの頭脳戦 ・化け物じみたスパイ多数 ・当時の雰囲気をうまく匂わせてる ・楽しくさっと読める(通勤…

有川浩「クジラの彼」

考えずに読める有川浩のこってこて自衛隊恋愛モノ短編集。 自衛隊にガッツり取材して書かれたらしく、「自衛隊で働く人たち」の恋愛以外の価値観・行動倫理なんかもとても印象的です。 海の底・空の中の登場人物のその後を描いた短編が3つありますが、読んで…