塩野七生『ローマ人の物語(1)』

 偉人の伝記のように、偉大な国「ローマ」の歴史を綴った長編の一巻。
 塩野さんは本当に、西洋の歴史モノをロマンたっぷりに書いてくれるから、
読んでいてぞくぞくするw

 1巻は、後に地中海に覇を唱えるローマの幼年期の話。
ロムルス・レムルスの建国神話から始まり、
十二表法がどのような背景で制定されたか、くらいまでかな。
  
十二表法制定時期は、アテネが最盛期を迎える頃で、
これらの都市国家についても扱っています。
 
 私はとてもローマが好きなのですけれど、何が良いって、
 ローマという国の「強み」が、
単純な武力や経済力でなく、ローマ人たちの性質と、システムにある、
ってこと。
 すごい人がたまたまいたから繁栄しました、ってだけじゃなくてね。

 当時覇を唱えたアテネは世界唯一の直接民主制の成功例といえるけれど、
これはシステムとしてはとても弱かった。
 
誰もが政治に参加できるということは、
政治的な判断をするのに能力的に不足する人も参加するということ。
 
これをうまく回すには、
 人気取りと政策のバランスをとりながら、
 なおかつ長期的な視野を併せ持って実行していく、
なんて離れ業を行わなきゃいけない。
 
それをン十年続けた、当時のアテネの指導者、
ペリクレスは本当に天才だったのだと思う。
どうやったらそんなことが可能なのか、さっぱりわからんw。
 
逆に、そんな指導者がいないと回らない政治体制は、
やはりシステムとしては弱い。
 
 とはいえ、アテネ全盛の頃のローマとか
そこまでたいしたことはないので、
まだ発展する途上、って感じかなぁ。
 
 個人的には、ハンニバルとの戦いがとても好きなので、
そこまでは一気に読んでしまおう。