ダン・シモンズ「エンディミオン」「エンディミオンの覚醒」

SF野郎必読のハイペリオンシリーズの3・4部。
 
とりあえず一通り読んだだけだけど、
1,2部で曖昧だったところを明確にして、さらに風呂敷を広げた感じ。

1,2部がSFのあるある設定乱れうち、という感じだったのに際して、
今回は構造的にはシンプル。
あまり捻ってはいないけれど、文章と設定でぐいぐい読ませていく、
王道のSF冒険譚。

そして、濃密な情景描写は前作にもましてすばらしい。
 
頭にガンガン壮大なイメージを叩き込んできて、正直圧倒される。
文章に漲る力が半端じゃないくって、疲れてるときなんかは正直読めない。
脳みその回転上げないと、文章から情景を再生できない。
 
特にさまざまな惑星の描写が圧巻。
 
氷に閉ざされた惑星ソル・ドラコニ・セプテム、
かつて巨大樹の名残が残るゴッズ・グローヴ
名前は忘れたけれど、幅数百メートルに及ぶ巨大な雷で覆われたガス型惑星、
ともう派手で多彩な惑星ばっかり。
 
その見たことの無い風景を、ド迫力の描写で描いてくれます。
生態系なんかもそれぞれ描かれてて、
異世界旅行好きの自分にはたまらない。
 
幼い頃、ヴェルヌの「月世界旅行」や「地底旅行」を読んで、
どきどきした俺なんかにはもう。。
 
後、日本人としては、「日本」の扱いがとても興味深くありました。
過去の帝国主義の国家として日本が挙げられたり、
禅宗キリスト教の一派が合わさった宗教が存在したり。
 
機械知性が禅の問答で会話したり、
さまざまな登場人物が一休の歌なんかを引用してきたりと、
作者物凄く勉強したんだろうな、
と思える。
日本人的には、そこでこの歌を引用するかよ!?なのがあるけどねw。
 
合計1700ページくらいある、「エンディミオン」「エンディミオンの覚醒」でしたが、
実に楽しく読めました。