桜庭 一樹「GOSICK ―ゴシック― (角川文庫)(1)〜(6)+短篇集(1)(2)」

GOSICK ―ゴシック― (角川文庫)

GOSICK ―ゴシック― (角川文庫)

20世紀初頭、西欧の小国ソヴュールの名門校、聖マルグリット学園に留学してきた久城一弥は、図書館塔最上階の小部屋で奇怪な美少女ヴィクトリカと出会った--キュートでダークなミステリシリーズの開幕!!

前世紀初頭、ヨーロッパの小国ソヴュール。極東の島国から留学した久城一弥は、聖マルグリット学園の図書館塔で奇妙な美少女・ヴィクトリカと出会った。彼女の頭脳は学園の難事件を次々解決してゆくが、ある日ヴィクトリカと一弥は豪華客船に招待され、そこで本物の殺人事件に遭遇してしまう。やがて彼ら自身に危機が迫ったとき、ヴィクトリカは―!?直木賞作家が贈る、キュートでダークなミステリ・シリーズ。

:(301page):1巻アマゾン紹介より引用

感想

 2011/01/03現在既刊の(1)〜(6)、
 短篇集のゴシックS(1)(2)全てをとりあえず読了。
 
 桜庭一樹さんは「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」から入ったので、
 凹まないように気合を入れて読んだのですが、
 中身は大変に読みやすい、
 エンタメ路線全開のほっこりするミステリでした。
 
 気張らず読めて、面白い小説が読みたい、って時にはオススメ!
 古典的な、懐かしい匂いのする謎解きも楽しいです。
 
 叙述トリック等の、比較的新しめの変化球系謎ではなく、
 児童向け小説の「ホームズ」や「ルパン」のような、
 どこか懐かしい古典的な謎で、これがまた懐かしいやら楽しいやら 笑。
 
 後から知ったのですが、
 作者は「GOSICK」執筆中に重い話が書きたくなり、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」が生まれたのだとか 笑。
 確かに、GOSICKはエンタメ路線全開なので、その話も納得という処。
 

ボーイミーツガールの先

 この作品の主人公、久城一弥とヴィクトリカ
 どう見ても慕い合っているのですが笑、
 その関係がまた非常に魅力的なのです。
 
 一弥にとってヴィクトリカは「ただ一人の女の子」ですが、
 ヴィクトリカにとっての一弥は母親以外で唯一の、
 人間的な心愛の情を向けている人間です。
 
 ヴィクトリカ→一弥への切実で必死な様子の描写は、
 非常にあざとく俺の表情筋を緩ませてくれました。
 後少し切なくなりました。
 
 さて、作中では彼ら二人が「ずっと一緒にはいられない」ことが暗示されています。
 既に予兆のある「第二次世界大戦」という、大きな歴史の流れに巻き込まれ、彼らが離ればなれになると。
 彼らはその大きな流れの中でどうしようとするのか、
 というところが非常に気になる処。
 
 現状の最新刊「仮面舞踏会の夜」では様々な伏線が回収されたので、
 そろそろ終わりなのかな?という予感がします。
 
 どうも、アニメ化に合わせて
 新作が発表されるとのことなのでそこで一段落つくのかな?
 
 ま、なにはともあれ楽しみに待ちますか。