賀東 招二「フルメタル・パニック!12 ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) (富士見ファンタジア文庫)」

感想

硬めの小説しか読まなかった中学生の頃の自分を、
ライトノベルにすっ転ばしたシリーズがとうとう完結。
 
最近読んだ新書だの小説だののは置いといてw、
これだけは読み終わった今感想を書いておきたい。
 
 
やっぱ、セリフとツラはいつもの「アレ」だよな!と膝をたたきたくなる、
本当に綺麗な終わり方。
 
初めて友達から借りて読んでから新刊が出るたびに買ってきたけれど、
こんな終わり方をされると、とても幸せな気分になる。
 
最後の挿絵は、二人よりも周りを確認してしまう。
泣く椿と異様な存在感を示す小野の左手とかね。
ただ、閣下が最後に出なかったのがちょっと残念。
(卒業してるし、当たり前なんですけど)
 
唯一、高校サイドで宗介の正体に感づいてた人だったから、
「武器を捨てる」選択をした宗介を見て欲しかったなーと。
 
あとがきの、
それでは次巻も、、、の下りがないのに寂しさも感じる。
そっか、もう次の巻、ないんだよな、、。
ま、最高に面白かったからこそ、終わるのが惜しいんだよなぁ。
 
 
このシリーズは、
ソ連と米国の冷戦がつづいているIFの世界が舞台で、
ユーゴの内戦・テロなど、その辺がかなり生々しかった。
アニメになったときに、
同時多発テロにハマりすぎてて延期になったりもしたような。
 
そんな具合に世界観は割と壮絶なのですが、
内容は気持ち良いくらい王道の、ボーイ・ミーツ・ガールで。
とにかくエンタメエンタメしてて、読んでてとても楽しかった。
  
長編がシリアス、短編集がギャグメイン、という感じなのだけれど、
両方面白いのですよね。
それも信じられないくらいw
 
長編は下手に言えないのだけれど、
熱いおっさんどもの格好良さや、
「平和に暮らせるはずだった子どもが、
銃をとらざるを得ない境遇に置かれること」
の悲しさとか、やりきれなさが結構クる。
カリーニンの判断も、ちょっと共感しちゃうくらいには、
 悲惨な過去を持った奴は多かった。べヘモスの搭乗者とかさ)
 
短編はまぁアホな内容なのですけど、切れ味がよくってサクサク読めて楽しい。
俺は、
下駄箱に仕込まれたラブレターを爆弾と勘違いして、
下駄箱ごとプラスチック爆弾で吹き飛ばす話(「南から来た男」)と、
弱小で心優しいラグビー部をハートマン軍曹方式で
殺人ラグビー野郎に精神改造する話(「やりすぎのウォークライ」)が好きでした。
 
それにしても、最高に面白いシリーズだったな。
この本を読めてよかった、と思えるわ。
実家から昔の本もって帰ろうっと、、。