奥田英朗「最悪」

 「最悪」としか言いようの無い状況に直面した人たちの群像劇。
 テンションが上がるドキドキ感というよりは、
どんどん悪くなる状況にはらはらさせられっぱなし。
 
 特に小さな工場を経営するおっさんが、、信じられない転落っぷり。
 穏やかなおじさんだったのに、
  銀行の融資は切られるわ(融資を見越して設備投資を進めてしまっていた)、
  近隣との騒音トラブルで暴力沙汰を起こしてしまい訴えられるわと
 どんどん転落していく。
 中年のおじさんが心の平静を欠いている状態、って痛々しくて見ていられん。。
 
 伊良部シリーズなんかの比較的御気楽なムードかと思いきや、
終始ハードな重い雰囲気で予想を裏切られました。
うん、これはこれで面白かったな。
ただ、気分が沈んでいる時にはあまり読まない方がいいかなー。