fontタグが標準HTMLからはずされる件について思うこと

●HTML 5 ― HTML 4 からの変更点

HTML5 における HTML4 からの変更点W3Cが出しているHTMLの記述ルールが変わったみたいです。しかもこれはかなりの変化。
W3Cってのはインターネット上で使用される技術の標準化を目指す団体で、学者さんとか個人とか、企業とかが参加しています。
 
そもそもCSSが導入されたのは、文章の内容とデザインを分けることを重視したからです。
文章の内容をしめすはずのタグがデザインに使われるなどして、目が見えない人が使用する読み上げソフトでは読めなくなるWebページが増えたことや、大規模なサイトの場合デザインの変更がスマートになること、なんてのがこの区別の動機だったと思います(特に前者)。
  
自分がHTMLをいじり始めたのは10年くらい前だったのですが、そのときはたとえば本来表に扱われるべきテーブルタグを文章を中央ぞろえにするために使用するなどが至極当たり前に行われていたんですよ。
その時いじっていたホームページは、中学の友人と数人で作ったものでした。(そのうちの一人と来年から一緒の職場で働くなんてびっくり。社員全員で30人もいないのにな)HTMLをリアル厨房だった自分が作ったHPは、正直当時はやっていたテキストサイトもどきみたいなやつでした。今思い出すと顔面が発熱します。いわゆるひとつの黒歴史というやつですね。
 
んで、テーブルタグを用いて中央ぞろえにするという方法は、至極当たり前に各種企業などのサイトにおいてもとられていた方法でした(自分も使ってました)。
「幅80文字の文章を中央に表示」が当時のタグ本来の使い方ではできなかったんですよね。
中央に表示、というタグ(CENTER)はあるものの、これを文章に対して直接使用してしまうと

センタータグのみ(aを囲んでいるのはCENTERタグ)

|   |aaaaaaaaaaaaaaaaa|   |
|   | aaaaaaaaaaaaa |   |

↑こんな風になっちまうんです。
仕方ないので 「600の幅を持つふちのない長方形」を真ん中において、その中に左揃えの文章を書く、という方法をとることになりました。
 
センタータグ+テーブルタグ(外側がCENTER、内側がTABLE)

|   ||aaaaaaaaaaaaaaaaa||   | 
|   ||aaaaaaaaaaa   ||   |

この「ふちのない長方形(図では内側の縦線)」を、本来表に使用されるべきテーブルタグで使っていたわけです。一マスだけの表を、枠線の太さ0で表示してこの用途に使ってたんですね。
ちなみに、この「ふちのない長方形」こそが現在ブログなんかで多用されているDIVです。
 
こんな具合に、デザインと構造の表記がごっちゃになってたんですね。
他にもたとえば本来内容の強調で使われるべきstrongがただの太字扱いだったり、逆にstrongすべきところがfontタグで表示されたりなど、「普通の人に」見える形が同じなら本来のタグの意味がどうであろうとどうでもいい、ということが少なからずあったんです。 
 
読み上げソフトだと、全然意味が違うのにね。
確かに普通の人にとってはそんなもんに気をつけて書かなければいけないというのは面倒ですからし仕方ないことだともいえますが、これを改善するべくCSSが導入されたわけなのです。
 
とはいえCSSなんぞ導入されたところでやはり一度広まった方法はなかなか消えません。
それが激変したのはブログの導入ではなかったか、と思います。
特に知識がなくても簡単に更新ができ、文章の修飾もできるブログのおかげで、CSSはみんなが当たり前に使っているものになりました。
ほとんどのブログを開いてみると、DIVやSPANなどのCSS用のタグでデザインされています。
  
簡単に、誰もが(気づかずとも)使えるようになったからこそ構造と修飾の分離が進み、今回のfontタグの標準HTMLからはずされる、ということになったんですよね。
 
この流れは「ちょっと手間だけれど、みんなが使えれば便利なこと」を普及させるために「みんなが自然に使う(使える)状況を創出する」という流れと同じですねえ。
こういう標準化の流れはこの先きっとあるはずだから覚えておこう。
 
たとえば自動車用ソフトウェアの標準化プロジェクトとかもありますしね。
近いニュースだとこんな具合で。
●JasParとAUTOSAR、自動車用ソフトウエアの国際標準化で協力
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/02/14/028/index.html