「お前の母ちゃんでべそ」の真の意味

大学に入るまで、「変人教授」なんていういかにもステレオタイプな人種はなかなかいないだろう、と思っていた時期がありました。
それは大きな間違いだった、大学こそは変人の巣窟なり、と入学当初の私に実感せしめた教授がいます。
 
その先生の授業は、話の8割方は脱線し、その脱線先でも有り余る妄想力をいかんなく発揮した結果、そもそも戻るべき話の筋がどこにあったのかすら当人すらわからなくなるというもので、言うまでもなくすこぶる生徒からの評判が悪いです。
 
私は到着場所がわからないミステリートレインのような授業にあるまじき面白さをこの授業に感じ、毎週足繁く講義に出ています。毎回話がどうなるのか全く読めず、講義時間の90分間なかなか気を抜けません。
 
 
さて、その教授今日はローマでの家族制度について語っていたはずなのですが、こんなことを叫びました。
なんかの比喩ではなく、本当に絶叫しました。
 
「お前の母ちゃんでべそ、という罵り言葉がある!この言葉の裏に隠された意味は、なんだと思うねッ!?」
 
ぐるり、と生徒全体を見渡し、わからんだろう、という顔をした後、
「わからんか?あれはな、悪口を言っている子どもの父親とだな・・・」
 
 
 
「言われた子どもの母親が密通してるんだよ!ミッツー!(声を荒げる)」
 
「そもそも、喧嘩相手の母親のへその形状なんぞわかるわけがない!これはきっとオヤジが、相手の母親がでべそだってことを自分の子どもにいってるんだろうなぁ・・・・・・(ものすごく悲しそうな声)」
 
とこの後もどんどん自分で作り出した、身勝手な大人に翻弄される子どもたちに同情する教授。目も涙ぐんで、情感たっぷりに語りあげます。
なんかちょっといい話になってきたりもなんかして。
 
 
「まあそれはさておき、どこまではなしたっけ?」
 
私らも先生の話に飲まれちゃって覚えてないですよ!